不合格のショックから、現実逃避も含めて、しばらく私は絵を描いてばかりいました。好きな作風を真似てみたり、外にでて風景画を描いてみたり…。はじめは「気分転換になるだろう」と思い、夢中で描いていました。
しかし、そのうち「気分転換」という甘ったるい状況ではなくなります。
西洋美術史には「印象主義」のあとに「表現主義」が位置づけられています。印象主義はIMPRESSIONISM、表現主義はEXPRESSIONISMで、この違いは「IM」と「EX」の接頭辞の差だけです。「IM」はINで「内側」。「EX」は「EXIT=出口」つまり「外側」です。「PRESS」は「刻む」なので「内に刻む」と「外に刻む」の差が、印象主義と表現主義の差です。
「印象」とは「自分の胸に刻まれたもの」で、「私にはこう見えたからこう描く」が印象主義です。一方、表現主義は「外側に刻む」。なにを?「自分の胸の内」を、ですね。心象風景を描けば「表現主義」で、「表現」とは自分の胸のうちの中にあるものを外側に刻む行為です。
印象派と表現派はもちろん、意識的にそうしています。しかし意識的にではなく、特に表現主義の方法をしてしまっていたら? ― おぞましいものができます。もちろん、描いた本人にとっての話ですが。
つまり、私の絵はそれでした。しばらくして書き溜めたものを見返してみると ― 「心の闇」というんですかね、にじみ出てました。
楽観的なわたしもさすがに考えました。なにしろ、今の自分が「正常じゃない」ということを知ってしまったのですから。私は「わたし」と「わたしを取り巻く環境」との間で不適合を起こしていたのです。
こういうとき、どうすればいいのか?「なぜ不適合を起こしたか」を考えることしか、道はありません。
結局、原因は「公務員試験に落ちた」です。
そして、「じゃあもう一度受けて、合格したら?」 ― これが答えです。
こうして、私はもう一度、試験を受けることを決意しました。秋の民間採用も、面接の練習として取り組むことになります。
民間採用で最も重視する試験は面接です。はっきり申し上げますと、面接は「いかに自分をだまし、相手を自分の嘘に取りこむか」が鍵となります。これを行うためには「知識」が必要です。たとえば、会社に関する資料とか、その業界に関する知識とか。
たとえば、企業の説明会では「なにに着目して質問をすると人事担当者は喜ぶか=顔を覚えてもらうにはどんな質問をしたほうがいいか」という実験が出来ます。
また、公務員試験では面接を受けられる回数が非常に少ないため、自分が面接官にどのように映っているか把握する機会が少ないですが、それを民間企業の就職活動で補えます。
わたしは公務員試験の練習として就活をしていたため、人事担当者には迷惑な話で申し訳ないと思うのですが、公務員試験の面接で役立つ体験は多く、やっておいて良かったです。
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